スウェーデン戦では1点を先行されたが、ホセ・マリア・ベラウステとドミンゴ・ゴメス=アセードの得点で逆転勝利。イタリア戦ではフェリクス・セスマガが素晴らしい2得点を挙げてメダルを確定させたが、これ以後はUEFA EURO 2012決勝まで92年間も公式戦でイタリアに勝利することがなかった。オランダ戦でもセスマガが2得点し、さらにピチーチも得点して3-1で勝利した。この大会ではパコ・ブル監督がスペイン代表を指揮し、選手はゴメス=アセード、アラボラーサ、マリアーノ・アラーテ、フアン・アルトーラ、ホアキン・バスケス、ベラウステ、サビーノ・ビルバオ、ラモン・エギアサバル、ラモン・ヒル、リカルド・サモラ、シルベリオ・イサギーレ、ピチーチ、ルイス・オテーロ、フランシスコ・パガサウルトゥンドゥア、ジョゼップ・サミティエール、アグスティン・サンチョ、セスマガ、ペドロ・バジャーナだった。スペイン代表は初めて出場した国際大会で結果を残したが、次に成功を収めるまでには長い時間を要した。
UEFA EURO '96予選ではデンマーク、ベルギー、キプロス、マケドニア、アルメニアと同居したグループを勝ち進んだ。イングランドで開催されたUEFA EURO '96本大会グループリーグではブルガリア、フランス、ルーマニアと対戦し、最初の2戦は1-1の引き分けだったが、ルーマニアには2-1で勝利。準々決勝では開催国のイングランドと対戦し、延長を終えてもスコアレスで、PK戦を4-2で制したイングランドが準決勝に勝ち上がった。1998 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選ではユーゴスラビア、チェコと同じく無敗で本大会出場を決めた。クレメンテ監督にとって2度目のFIFAワールドカップ本大会となる1998 FIFAワールドカップには初めて32ヶ国が出場してフランスで開催された。グループリーグではナイジェリアに敗れ、パラグアイに引き分け、ブルガリアに勝利したが、得失点差が1位にもかかわらず、勝点4のグループ3位で敗退となった。
UEFA EURO 2000予選の第1節でキプロスに2-3で敗れると、クレメンテ監督が解任されてホセ・アントニオ・カマーチョ監督が就任した。予選の残り試合に全勝して本大会出場を決めると、UEFA EURO 2000本大会グループリーグ初戦ではノルウェーに1-0で、スロベニアに2-1で、ユーゴスラビアに4-3で勝利して準々決勝に進出したが、準々決勝では1998 FIFAワールドカップ王者のフランスに1-2で敗れた。2002 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選ではオーストリア、イスラエル、ボスニア・ヘルツェゴビナ、リヒテンシュタインと同組となり、首位通過したことで本大会での躍進が期待された。日本と韓国で共催された2002 FIFAワールドカップ本大会ではスロベニアに3-1で、パラグアイに3-1で、南アフリカに3-2で勝利し、決勝トーナメント1回戦ではアイルランド共和国にPK戦の末に勝利したが、準々決勝の韓国戦では2度ゴールネットを揺らすものも不可解な判定で取り消しとなり、PK戦の末に敗れた[2]。ポルトガルで開催されたUEFA EURO 2004では開催国のポルトガル、ロシア、ギリシャと同組となった。ロシアには1-0で勝利し、ギリシャには1-1で引き分けたが、引き分けも勝ち上がりを決められるポルトガル戦に敗れて決勝トーナメントへの道を断たれた。大会後にはイニャキ・サエス監督が解任されてルイス・アラゴネス監督が就任した。
2006 FIFAワールドカップでの敗退後、アラゴネス監督は後にティキ・タカと呼ばれることになるショートパス主体で、選手の連動性を重視したパスサッカースタイルの確立を推し進めた。ガーディアン紙のラファエル・ホーニヒシュタンは「トータルフットボールの重要な改良であり、選手のポジション変更を当てにした戦術である」と表現した[3]。当初は非常に苦しんだUEFA EURO 2008予選でも、2007年ころからは次第に調子を上げていき、最終的には獲得可能な勝点36のうち28を獲得して本大会出場を決めた。スイスとオーストリアで共催されたUEFA EURO 2008本大会では第12位のシード順だったが[注釈 4]、ロシアに4-1で、スウェーデンと前回王者のギリシャに2-1で勝利してグループDを首位通過した。準々決勝のイタリア戦はスコアレスドローの結果行われたPK戦に4-2で勝利し、準決勝では再びロシアと対戦して3-0で勝利した[4]。ウィーンのエルンスト・ハッペル・シュタディオンで行なわれたドイツとの決勝では、フェルナンド・トーレスが33分に試合唯一の得点を挙げて1-0で勝利[5]。1964年以来となる主要大会制覇を果たした。スペインは各国中最多の12得点を挙げ、4得点のダビド・ビジャが得点王となった。シャビ・エルナンデスが大会最優秀選手賞を受賞し、スペインから9人もの選手がチーム・オブ・ザ・トーナメントに選出された[注釈 5]。
UEFA EURO 2012本大会ではグループCに組み入れられ、イタリア、クロアチア、アイルランドと同組となった。第1戦のイタリア戦では、61分にアントニオ・ディ・ナターレに先制点を決められたが[13]、64分にスペインのダビド・シルバがセスクにパスを通し、セスクがジャンルイジ・ブッフォンを破る同点ゴールを決めたため[13]、試合は1-1の引き分けに終わった。2戦目のアイルランド戦ではトーレスが4分に先制点を挙げ[14]、前半終了までに追加点は生まれなかったが、49分にシルバがスペインの2点目を決めた[14]。70分にはシルバのアシストからトーレスが自身2点目を決め[14]、シルバのコーナーキックからセスクが駄目押しの4点目を決めた[14]。3戦目のクロアチア戦は予想以上に厳しい試合となり、イヴァン・ストリニッチやイヴァン・ペリシッチなどの相手攻撃陣に幾度もチャンスを作られたが、キーパーのカシージャスが問題なく処理した[15]。試合はスコアレスドローに向かって進んでいたが、途中出場のヘスス・ナバスが88分に決勝点を挙げた[15]。スペインはグループリーグ3試合を2勝1分で終え、グループ首位で決勝トーナメント進出を決めた。
UEFA EURO 2008、2010 FIFAワールドカップ、UEFA EURO 2012で優勝したスペインは、主要国際大会3連覇を果たした初の国代表となった。なお、ウルグアイは1924年にパリオリンピックとコパ・アメリカ1924を制したが、コパ・アメリカ1925では大会中に撤退し、主要国際大会3連覇の可能性を自ら消した。また決勝に4点差で勝利したスペインはUEFA欧州選手権決勝での最大得点差勝利記録を更新した。それまでの記録は、UEFA欧州選手権1972決勝で西ドイツがソ連に3-0で勝利した際の3点差だった。スペインはUEFA欧州選手権で3回目の優勝を果たし、それまで単独で最多優勝記録を持っていたドイツに並んだ。スペインはグループリーグ初戦から決勝までの試合で得失点差11(12得点1失点)を記録しているが、これは大会通算での最大得失点差記録となった。それまでの記録はUEFA欧州選手権1984のフランス(9点差、12得点3失点)だが、フランスはスペインより1試合少ない5試合で記録した数字である。デル・ボスケ監督はFIFAワールドカップとUEFA欧州選手権それぞれの優勝監督となったが、これはヘルムート・シェーン監督(西ドイツ)に次いで2人目の記録である[20]。代表での両国際大会に加えてクラブでUEFAチャンピオンズリーグを制したのはデル・ボスケ監督が初である[21]。2000年代前半までのスペイン代表に対するネガティブな評価は一変し、サッカー史上最高のチームのひとつとの呼び声さえも聞こえるようになった。フランスのレキップ紙はゲーリー・リネカーの有名な発言を言い換え、「サッカーは11人対11人で戦うスポーツであり、結局はスペインの勝利に終わる」と書いた。イギリスのガーディアン紙は「(2000年代末から2010年代初頭のスペイン代表は)永遠にスペイン代表の黄金時代として語られ、(過去・未来の)いかなるチームも比肩できないだろう。」と書いた。
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