ユダヤ人国家法
ユダヤ人国家法(ユダヤじんこっかほう、ヘブライ語: חוק יסוד: ישראל – מדינת הלאום של העם היהודי、ラテン文字転写: Basic Law: Israel as the Nation-State of the Jewish People)は、イスラエルの基本法 [1]。「基本法:イスラエル-ユダヤ人の国民国家」「ユダヤ国民国家法」とも呼ばれる[2]。
概要
以下が骨子となっている[3]。
- イスラエルにおいてユダヤ人にのみ民族自決権があると明記。
- イスラエルはユダヤ人の歴史的な国土と明記。
- アラブ人が使うアラビア語が公用語から「特別な地位」に格下げし、公用語はユダヤ人が使うヘブライ語のみと明記。
- 「ユダヤ人入植の拡大」について、イスラエル政府が「奨励して促進する国家的価値」と明記。
- 東エルサレムをも含む「統一エルサレム」をイスラエルの首都と宣言。
2017年5月に超党派の右派議員12人が提出していた[4]。
2018年7月19日に国会(クネセト)での約8時間に及ぶ審議の末、最終的に賛成62、反対55の賛成多数で可決された[3]。
当初の法案では、ユダヤ人だけが住むことができるコミュニティを明文化し、関連の判例がない場合にはユダヤ教の儀式規則が他の法律よりも優先されることなどが盛り込まれていたが、ルーベン・リブリン大統領やアビハイ・マンデルブリト司法長官ら反対派からの批判を受け、これらの条項は削除された[3]。
法案成立を受けて、イスラエルの人口約900万人のうち約2割を占めるアラブ系住民は「ユダヤ人優位を制度の根幹に据えることを明言し、アラブ人を常に『2級市民』とする法律」として反発している[3]。
リベラル寄りのシンクタンク「イスラエル民主研究所」はユダヤ人国家法は「すべての居住者の利益のために」国家の発展に尽力することや「宗教、人種、性別に関わらずすべての居住者の完全に平等な社会的、政治的権利」を確立する必要があること等を文言としているイスラエル独立宣言に反していると主張している[3]。
脚注
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